松本くんはごく自然に俺

の頭を撫でました。

「あ」

知ってる、確かに昔こう

やって頭を撫でられたこ

とがあります。

おじいちゃんでも、お母

さんでもありません。

この手を確かに知ってい

ました。

『翔くんの中には、もう

一人の翔くんが眠ってる



「もう一人の?」

松本くんがまだ何かいい

かけるのを予鈴が遮りま

した。

『続きはまた今度』

松本くんは俺を置いて屋

上を後にしました。

知ってる、確かに俺は松

本くんをもっと前から知

っていると思いました。

小さい頃よりもっと昔か

ら―。