奇蹟のはじまり

『小さい頃、おじいさん

に連れられてよくこの木

の下に来てたでしょ?』

「なんで知ってるの?」

『言ったよね、この木の

記憶が見えるんだって』

「あ…」

『放課後に教室に残って

たのも大野くんと話をし

たかったから』

「だけど、僕以外の人の

記憶もあったんでしょ?

どうして僕なの?」

『それは』

松本くんは言いかけてや

めました。

『今度話すよ。まだ、今

日の話も終わってないし



そう言われてしまって、

それ以上何も聞けなくな

ってしまいました。




『今日は夕飯ごちそうさ

までした。久々に千恵さ

んの料理食べて美味しか

ったよ。きちんとお礼言

えなかったからさ。今度

会った時にちゃんと言う

つもりだけど、翔くんか

らも伝えといてくれない

かな?』