どれくらいそうしていた

のでしょうか。彼女は自

分の後ろに誰かいる気配

がしたのです。

彼女は振り返ろうとしま

した。すると、

『振り向かないでって言

われたんだって。その声

は少年みたいな若い男の

子の声だったんだって。

そして、その声は続けて

、明日もう一度ここにお

いで。必ず逢いたい人に

合わせてあげるって言っ

たんだって』

「で、会えたんですか?



『うん、だけど逢えたっ

て言うのが正確かどうか

わからないんだけど』

『どういうこと?』

智が聞きました。

『彼女が木の下に行くと

、また振り向かないでっ

て言われたんだって。だ

けど、それは紛れも無く

婚約者の声だったって』