「変なやつに絡まれたらどーすんだよ…」
「………」
「こんな格好じゃ、マジで襲われんぞ…」
「………」
謝んなきゃいけねえのに実紅を心配しすぎてか、つい他のことを口にしてしまう。
「それに…風邪引かれたら困るって言わなかった…?」
肩が小刻みに震えているのが分かった。
だって上着着てねえもん。
俺は自分の上着をまた実紅に羽織らせた。
「…冷てぇじゃん」
実紅の肩に触れた…
冷たくなってるし。
冷えてんじゃん…。
「誰のせいだよ…」
………実紅…
「誰のせいだと…思ってんのよ………ばーか」
顔をまた下に向けた実紅は"ぐずっ"と音をたてながら泣いていた。
「誰…の…せい…だよぉ…ッズ…」
「…実紅?」
「優しく…しないで…よぉ…」
「実紅…」
「呼ば…ないでぇ…グズッ」
呼ぶよ…?
泣き止むまで呼ぶよ?
優しく、するよ…?
泣き止むまで優しくするよ?
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