狼彼氏×天然彼女














ミーンミンミンミーン──




「あつ―…」

「熱中症になりそうだよ」



支度を終えて

電車も乗り終えて…


ついに俺の実家前…。





「……おい」

「へ?」

「へ?じゃねーよ。何一人で固まってんだよ」

「へ?」



こいつ…

人の話、聞いてねえ。


なんにも聞いてねえ。




バシッと実紅の頭を叩いた。



「いたッ…何すんの!?」


「何すんのじゃねーよ。固まってんから起こしてやっただけ」


「……あ、あはは」




苦笑いかよ…。


ま、いっか。

早く入って荷物整理しねえとな。






ピーンポーン──


懐かしい
チャイムの音。




《はい?》


そして懐かしい母の声がした。













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