上からの声に、ガリエラは我に返る。

「ああ、あんた植物人間なんだよな。なんでこんなとこにいたんだ」

「ここは研究施設でな。私は遺伝子移植に携わる研究員だったんだ」

 幹の顔がガリエラを見下ろす。

「もっとも、私はニセ植物は地球環境に害を及ぼすと考えていてね。人体改造には反対していたんだ」

「てことは…無理矢理改造されたってとこか?」

「そうだ。しかも忌々しいことに、神経の一部をホストコンピューターに繋がれている。私の生命反応が消えると自爆装置が作動するようになっている」

「陰険なことしやがる…死ぬ自由すら奪おうっていうのか」

 ガリエラの表情が険しくなる。

「おそらく、ここの端末に何か極秘の情報でも入っているのだろう。不正な手順でアクセスするとこの木が傷つく仕掛けだろうな」

 ようやく息の戻ったソリスティアが、足元を気にしながら見上げる。

「どの道、私を生かしておいては君らはここからでられない。繁殖制御がきかなくなってきている」

 そう言う間に、廃墟が軋み始めた。