love adoration


先生がエンジンをかけて、車を発車させる。


車の中には先生がディズニー行くときにもかけてた
静かなBGBが流れるだけ。
お互い無言で。

私の頭の中は?マークだらけだ。


なんで保健室に来てくれたんだろう?
とか
なんで送ってくれてるんだろう?
とか。

胸がせつなさに圧迫されそうで。
この気まづい雰囲気から脱出したくて話題を必死に探す。

なのに学校からそう遠くない家にはもうついちゃって、
結局話すことなく、
家の見慣れた門前についた。

「あ、ありがとうございました。」
「おぉ。
家に親は?」
「今日はいます。母親が。」
「そうか。」

荷物に手をかけ、ドアを開け外に出る。

「じゃあありがとうございました」

もう2人きりって絶対あまりないよな…

「あのさ。」

ウィーンと音がし、窓から顔を出した先生に
声をかけられる。

「はい。」

「お前あの日…
釣り合わないとか言ってたけど、
それって基準、なに?」

心が抉られる錯覚に陥った。

なんで、いまさら。

「いろいろです。」

それだけ告げて、逃げるように家に入った。

先生はあの時と同じで追ってこなかった。