重い木のドアの向こう

あやしげな溜め息が、
ひとつ。




黒い革張りのソファーに一人の人影。

艶やかな黒髪を
かきあげる指の先には

こぼれ落ちそうなほどのラインストーンで飾られた、濃い紫のネイルが輝く。



濃いまつげが
目元に影を落とす。


まるで
エナメルのような
人工的なツヤをもった唇から
細い紫煙が吐き出された。

「………………

……………………

………ヒマだわ(怒)」