キャノムは巻き起こる異変に慌てふためき、そんなモンスターの体をすさまじい風があっという間に切り裂いた。
「リュート! ベリルを!」
ティリスの声と共に右目を閉ざし、その方向を見た。
「──っ」
あいつ。何をしているんだ。
左腕を噛ませたまま、睨み合って動かない。悠長にしていたら酸で腕が溶けるというのに、どうしてああも落ち着いていられる。
ベリルは食い込む牙と酸の痛みに顔を歪めながら、手にしているハンドガンの銃口をキャノムの下あごにピタリとあてがう。
連続で三度、引鉄を絞ると集落でも聞いた破裂音が山に響き渡った。それから、ゆっくりと銃を仕舞い大人しくなったキャノムを見つめる。
弾丸は脳にまで達したらしく、キャノムは声もなく崩れ落ちた。
「ベリル!」
ティリスが慌てて駆け寄ると、その腕は痛々しい程に無惨な有様だった。皮膚は酸で崩れ、痛みで痙攣している。



