クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

「ティリス。みんなを」

 リュートは咄嗟にベリルの動きを察し、ティリスたちを避難させ自らも剣を抜いた。言われていた大きさよりもやや小さめだ。それに少しほっとする。

 リュートは剣を構え、このモンスターが見ていたのは自分だと表情を険しくする。

「今度は俺の力に誘われたか」

 つぶやいて、キャノムと対峙しているベリルを獣の影越しに見やる。

 あいつ(ベリル)の戦い方も気になるが、この狭い場所で悠長にもしていられない。まだ足を踏み入れたばかりで広めではあれども、余裕の幅というほどではない。

「気をつけてください! そいつの唾液は強力な酸です!」

 ラトナの声に、リュートとベリルは口元を見やる。

 滴り落ちる唾液が地面にたどり着き、微かな煙をあげた。

「こいつは厄介な」

 むやみに暴れられては問題だ。エメラルドの瞳を細めて、どう闘うかを思案する。

「うわ!?」

 レキナの叫びにリュートが振り向くとそこには、もう一体のキャノムが興奮した様子で立っていた。一匹目よりも、ひと回りは大きい。