──岩山の入り口にさしかかる。モンスターがいると知っているためなのか、レキナたちの足取りは重い。

「そのキャノムとは、どういった姿をしているのかね」

「大きなモンスターです。ほら、そこの岩くらい」

 シャノフは、訊ねたベリルに直径三メートルほどの岩を指差して答えた。

「凄くどう猛で肉食なんです。真っ黒い体をしていて、固い毛に覆われています。でも、滅多に出る事はないので大丈夫ですよ」

「ほう。滅多にね」

 感心するようにつぶやいたベリルと、みんなの強ばる顔にシャノフは怪訝な表情を浮かべて一同が見つめる先に視線を送った。

「うそ……」

「あんたがお約束なんて言うからだ」

「私のせいなのか?」

 言って直ぐ、ベリルはカルクカンから飛び降りてモンスターに目を合わせ駆け出した。その動きにキャノムが反応し、遠ざかるベリルを追いかける。