「今日の分を採ったあとの残りは、干して保存食にしましょう。この魚はヒャノって言って、とても美味しいんですよ」

「今夜はご馳走ですね!」

 嬉しそうにしているレキナたちにリュートは顔をしかめた。

「当分、持ちそうだ」とベリル。

 なんだ、この光景は。何かがおかしい。これほど違和感もなく馴染んでいるこいつ(ベリル)はどうかしている。

「生でも食べられますよ」

「ほう?」

 それにベリルはナイフを取り出し、三枚に捌かれた切り身からひと口分を切り取ると躊躇いもなく口に運んだ。

「ふむ。食感はスズキに似ている」

 白身で程よい弾力と噛み応えがあり、淡泊でありながらも噛めば噛むほど甘みが出る。

「美味しい?」

「ティリス!」

 食べようとしたティリスをリュートは慌てて止める。

「えー?」

「腹を壊したらどうする」

 好奇心だけは旺盛なやつめ。




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