クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

 
 ──二人が戻ってくると、ラトナとベリルが湖に釣り糸を垂れていた。

「この湖には大物がいるんです」

 いつも逃げられて悔しい思いをしているらしい。

 まずは普通に魚を釣り、釣った魚の鼻と尾の部分に針を二つ通して泳がせる。生きている魚を用いる「泳がせ釣り」という、大物を釣る釣法の一つだ。

「ムニエルにでもするか」

 その言葉にティリスがぴょこっと反応する。彼女はベリルの作る料理を気に入ったようだ。

「今日は満腹で寝られますね」

 釣る気、満々らしい。

 自分が釣るというより、ラトナはベリルに期待している。何せ、自分よりも大きいし力もある。

 振り回されて手を離してしまうなんていう事は、きっとないはずだ。