クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

「ククク。若いな」

 ティリスの視界に入る所では平静を装う事に懸命なようであるが、それに気がつかないとでも思っているのだろうか。

 リュートなりの想いがあり彼女の前では自身の感情を押し殺している。それを知ったからとて、私がどうにかして良い問題ではない。

 今は同じ目的で行動しているとはいえ、所詮は別の世界の住人だ。無責任に介入することが良いとは思えない。

 彼ら自身で越えていかねばならないものだ。迂闊に割って入り、彼にこれ以上憎まれたくもない。

 と言いつつも、憎まれるような事ばかりをしている自覚があるのかないのか。とにかく、ベリルは楽しかった。



 ──リュートは、剣を腰に戻して立ち上がるティリスを険しい目で見やる。

「何をしていた」

 再度、問いかける。

「だから。ベリルが毒蛇に噛まれたから、治癒しようとしたの」

 彼女の説明にリュートは眉を寄せた。