クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

 
 怪我人の治癒を行う彼女にとって、半裸であるそれ自体に驚きは無い。ティリスが驚いたのはベリルのきめ細やかな肌に対してだ。

 その色合いを、小さなほくろの一つとして邪魔するものは無く、引き締まった体型に思わず見惚れてしまう。

「解ったな」

「解らない!」

 怪我をした人が目の前にいて、それを治癒するななんて無茶な話だ。

「何をしている」

 その声に振り返ると、眉間にしわを寄せたリュートが立っていた。彼の苛つきが、あからさまに表情に出ている。

 上半身裸のベリルがティリスの手を握っている場面を見れば、そういう顔をするのは当然かもしれない。

「リュート! ベリルが毒蛇に──」

「残念、着替えたあとだった」

 言葉を切って立ち上がり、横切るベリルをリュートは睨みつけた。