──その頃、ティリスは木々の間から流れる雲と青い空を眺めつつ、嬉しそうに水浴びをしていた。
幼く見える面持ちに似つかわしくない大きな胸は、これからの成長を充分に期待させる。空色の髪は水面に美しく散らばり、湖をさらに澄んだ印象にする。
「ふう……」
汚れを落として安心したのか溜息を吐きつつ水から上がり、のんびりと着替えを済ませて剣に手を伸ばしたとき、
「っ!」
刃の上で四十センチほどの蛇がのたうっていた。
蛇は気が立っているのか、ティリスに牙を剥いて威嚇し飛びかかる。毒蛇なら噛まれれば危険だと身をすくめたが、誰かの手が蛇を掴んで安堵した。
「ベリル。ありがとう」
「大事ないか」
「うん。大丈夫──ってキャー!? 噛まれてる、噛まれてる!」
「問題ない」
無表情に応えて蛇をぽいと投げ捨てた。



