リュートはティリスに気配を配りながら、ベリルたちの水浴びを視界全体で捉えていた。
ふいに──
「入れ。衛生的に良くない」
「うわっ!?」
いつの間にか背後にいたベリルに蹴り落とされて湖にダイブする。
「きさま!」
飛び上がりベリルに声を張り上げた。
油断していたとはいえ、あまりにもあっさりと落とされた。それだけ気配を殺すとは、蹴り落とす気満々で近づいてきたなこいつ。
「服を着たまま入る趣味でもあるのか」
リュートの怒りなど意に介さず、新しい服を手に取る。今度こそ殴ってやろうかとベリルの背中を睨みつけてハッとした。
すぐにはその異様さに気がつかなかったが、よく見れば傭兵と言っていたベリルの体には一つの傷も確認出来ない。
闘う者の体にしては綺麗すぎる。こいつの世界には、傷の残らない治療法でもあるのか。
「着たまま洗うつもりかね」
「誰のせいだと──」
「この機会を逃すな」
言って上着を肩にかけ、半裸のままどこかへ歩いていった。



