──そうして一行は夕暮れ近くまで馬を進め、夜になると交替で番をしながら眠りに就く。

 夜食にはベリルが生肉を調理し、これから先は干し肉になることを告げられる。保存のきかない生ものは使い切れる一食分だけ持ってきていた。

 兎でもいれば狩りで手に入れられる。それを願いつつ、塩加減が絶妙のステーキを一同は口にした。

 さらに進んで二日後、澄んだ湖が青い空を映し出してベリルたちを迎える。

「綺麗!」

 ティリスは喜びに声を上げた。

 湖は想像していたよりも大きく、ごつごつとした岩が積み重なって並んでいる箇所もある。

 さらに湖は幾つもに別れており、一つは森の中にあった。

「やっと体を洗えます。毛の間に(ほこり)や砂が入って参ってました」

 慣れない遠出にシャノフとレキナが安堵して服を脱ぎ始める。

 ベリルからすれば服を着た小型犬が、服を脱いだだけのイメージでしかない。小型犬というよりは、大型犬のサイズではあるけれど。