見えているだけの長さで十メートルは軽く超えている。砂の中には、あとどれくらいの体があるのか見当もつかない。

 山のように大きな芋虫といったところか。口の先には、リュートの腕ほどもある十数本の触手が気味悪くうねっている。

「キャリオン・クローラーといったところか」

 ベリルが呑気に口を開いた。戻ってきたカルクカンに褒美のエサを与えて首をさすってやる。

「間近で初めて見ました」

「レキナはここまでは来ないからな」

 ラトナが得意げに胸を張る。

 あの怪物は大きな体をしていても、それほど食料を必要としないらしい。砂地に足を踏み入れる生物は少ないため、かなり燃費の良い構造なのだろう。

「迂回で決まりだな」

 ベリルは荷物を再び積むとカルクカンに飛び乗った。

 獲物を食べ損ねた巨大ワームは悔しさなのか、雄叫びを上げながら飛び跳ねる魚のように砂地獄の中を泳ぎ回っていた。

 その光景を横目で見やり、一同は迂回する。




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