──ベリルは持っていたバッグの中身を確認する。
「よくもついてきた」
いつでも車に積めるようにとまとめていた事が功を奏した。とはいえ、中身の全てを持って行く訳にはいかない。
使えないものを運ぶ無駄な労力は今回、抜きにしたい。
知らない世界での備えは充分にして然るべきだが、馬という移動方法では重量を考慮しなくてはならない。
ファスナーを開いて一旦、中身を取り出していく。
はめていた腕時計はかろうじて動いているものの、バッグに入っていたストップウォッチはぴくりとも動かない。
用途が異なるためだろうか、動くものとそうでないものの違いの法則がよく解らない。
カウント式の時限発火装置は置いていくとして、プラスチック爆弾の原料であるC-4は使える。
C-4とは、粘土タイプの爆薬の事だ。しかし、この爆薬は起爆装置か雷管を必要とする。火に近づけるだけでは、ただ燃えるだけで爆発はしない。
果たして、それらが正確に機能するのか疑わしい。少量のため、試す訳にもいかない。



