「問題なのは、状況がまったく掴めない事だ」
自分に何が起こっているのかを知りたいというのに、その人数が増えただけの状態にベリルは頭を抱える。
「うん?」
ふと背後から誰かに肩を叩かれ、ベリルは眉を寄せて振り返る。しかし誰もいない。気配を感じて視線を下げた。
「フェネックか」
そこには、大きな耳のキツネが二本足で立っていた。背丈は百三十センチほどだろうか。
敵意はないようだが肩を叩かれるまで、まるで気付かなかった事にベリルは少々、落胆した。
「可愛い!」
「ティリス! むやみに近づくな」
ベリルは初めて口を開いたリュートを一瞥する。声からして、思っていたよりも若いかもしれない。
「見た事ある! リネラスよね!」
「キツネリスが服を着て二本足で立つか」
どうやら、彼らの地域にいるフェネックと似た動物は「リネラス」というキツネリスらしい。
「あ、あの~。あなた方は、我々が呼び寄せた勇者様──ですよね?」
長く大きな耳を垂れて怖々と尋ねた。前足と思われた手をモジモジしている。
「……勇者?」
リュートは怪訝な表情を浮かべてベリルと顔を見合わせた。
†††
自分に何が起こっているのかを知りたいというのに、その人数が増えただけの状態にベリルは頭を抱える。
「うん?」
ふと背後から誰かに肩を叩かれ、ベリルは眉を寄せて振り返る。しかし誰もいない。気配を感じて視線を下げた。
「フェネックか」
そこには、大きな耳のキツネが二本足で立っていた。背丈は百三十センチほどだろうか。
敵意はないようだが肩を叩かれるまで、まるで気付かなかった事にベリルは少々、落胆した。
「可愛い!」
「ティリス! むやみに近づくな」
ベリルは初めて口を開いたリュートを一瞥する。声からして、思っていたよりも若いかもしれない。
「見た事ある! リネラスよね!」
「キツネリスが服を着て二本足で立つか」
どうやら、彼らの地域にいるフェネックと似た動物は「リネラス」というキツネリスらしい。
「あ、あの~。あなた方は、我々が呼び寄せた勇者様──ですよね?」
長く大きな耳を垂れて怖々と尋ねた。前足と思われた手をモジモジしている。
「……勇者?」
リュートは怪訝な表情を浮かべてベリルと顔を見合わせた。
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