「あ、でも。リュートだけ戻って、あたしがリュートと同じ年になるまでここにいるって事も出来るんだ」

「良い案だ」

 ベリルは感心して喉の奥から笑みをこぼす。

 呆れてティリスを一瞥したリュートは、次にベリルに視線を移した。

「あんたは元の世界に戻りたくない理由でもあるのか?」

「年を取りたくない理由が無いだけだよ」

 何かを含んだ物言いにリュートは目を眇める。

 こちらが尋ねていないせいもあるのだろうが、こいつ(ベリル)についても俺たちはさして解ってはいない。

 互いに何かを隠し合っている。見ず知らずの人間にべらべらと個人的な事を話すほどお喋りではないということか。

「さて。解ってくれたのなら、いつでも発てるようにしてもらいたい」