「元の世界に戻るのも遅くなる」

「それはそうだけど」

 ティリスは、あれだけ余裕を作ってくれていたのに突然、どうしたんだろうとベリルの変わりように妙な感覚を覚えた。

「こちらで過ごした時間はチャラにはならない」

 そんなに都合の良い魔法ではないだろう。

「つまり、ここにいる間は俺たちは余計に年を取っているという訳か」

「私は気にはならないが彼女には酷だろう」

 それにティリスは一考する。

「……えと。こっちでもし五年過ごしたとしたら、戻った時間があたしたちが消えたすぐ後だとしても、五年分の年は確実に取ってるって事?」

 解ってもらえた事に、ベリルとリュートは無言で首を縦に振った。

「た、確かに。それはちょっと辛いわ」

 言ってすぐ、何かを思いついたのか、ぱっと表情が変わる。