クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

「ウ、ウ……。オマエがほし──。ワタシ……ワタ──」

「お前のものにはなれない」

 すまないな。

 無表情に放たれた言葉と、影に向ける冷たい瞳に、ティリスはゾクリとした。そこには、なんの感情も見受けられない。

 人形を見るような目ではなく、ベリルが人であるのかと思うほど、彼自身から(わず)かの感情も読み取れなかった。

 影は悲痛に呻きながらも、すがりついてベリルを離さそうとはしない。この執着は一体なんだとリュートは(つか)から手を外さず様子を見守っていた。

 無言で影を見下ろしていたベリルは、ゆうるりと膝を突き、苦しみで震える体を抱き寄せてその唇にキスを与えた。

「っ!?」

 ティリスはベリルの行動に驚いて思わず口を塞いだ。