「どうしました!?」

  集落に響き渡った破裂音に、レキナたちが驚いて集まってくる。

「問題ない」

「あっ。大丈夫だそうです。みんな、寝てください。なんでもありません」

 ベリルの足元に転がっている影にレキナは息を呑み、すぐさま仲間たちを広場から遠ざけた。

 広場にはリュートと、レキナと同じく駆けつけたティリスが生温(なまぬる)い風を感じつつ異様な光景に声もなく立ち尽くす。

 その黒い影は、女のようだった。

 よく見れば端正な面持ちではあるものの、青白い肌に全身はやせ細り、表情は嘆きに満ちて腕は力なく揺れている。

 手だと思われた長い黒髪は未だベリルの腕に絡みつき、弱々しく脈動している。銃弾がきいたということは、明らかに実体を持つモンスターだ。