甘いものをつまみにする者もいるが、ベリルは特にそれを好むという訳ではない。甘いものでも酒が飲めるというだけで、普段はナッツやチーズ程度だ。
加えて、必ず食べ物が必要という事でもない。
「俺にも酒をくれ」
「解りました」
「ん~。しあわせ」
パンケーキを口に含んだティリスが美味しそうに満面の笑みを浮かべる。そんな彼女の表情にリュートは目を細めた。
ベリルでも気付くほどの感情が二人から読み取れて、なんとも噛み合わないものだと薄く笑みを浮かべる。
もちろん、これは面白いとリュートをおちょくる気でいる。
彼には幾つかの通り名があり、そのなかに「悪魔のベリル」というものがある。
悪魔の如く狡猾で抜け目がないという意味合いから名付けられたものであるが、もう一つ。
ベリルは人をからかう事を楽しむ傾向がある。そんな彼にとって、リュートは格好の獲物だろう。
今後のリュートに同情さえ覚える。