幼さの残る面持ちからして少女であろうか。その髪は鮮やかな青──空色と言うにふさわしく、そんな髪の色があるのかと感心した。

 その少女がベリルの姿に笑顔を見せて駆け寄ろうと身を乗り出す。すると、後ろで一つに束ねた髪が小さく揺れた。

 隣にいた青年が駆け出した少女の腕を掴んで制止する。

 なるほど、男の方はかなり旅慣れているようだ。一見、武器を持っているとは思えないこちらに、決して隙は見せない。

 それとは逆に、少女の方はあまり旅慣れしているようには感じられない。青年の強い警戒心は、少女を守るためのものだろうか。

 そんな考察をしている間に、二人がベリルの数メートルほどの距離まで近づき足を止めた。

「こんにちは」

 髪よりも濃い色の瞳を可愛くベリルに向ける。やはりまだ少女のようだ。

「やあ」

 屈託のない笑顔に小さく笑んで応える。

 なんの違和感もなく相手の言葉が理解出来る事にベリルは眉を寄せた。