クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

「ボナパスが来れば、彼らからまた犠牲者が出るかもしれん」

「え?」

 リュートがぼそりと発した言葉に、ティリスは集落を見回した。

「だから、住処(すみか)に行くのね」

 みんな優しくて、可愛くて……。これ以上、悲しい思いをしてほしくない。傷ついてほしくない──おのずとそんな想いが湧いてくる。

 誰かにすがらなければならないほど、彼らは切羽詰まっていたんだ。

「お前もついてくるんだろう?」

「え? リュート、頼みをきくの?」

「お前が断るなんて初めから思っていない」

 助けを求める者の手を、お前が振り払うはずがないからな。

「うん」

 ありがとう。