「この時期の天候はどうだ」

「今は大きな嵐もなく、雨期も終りましたから長期間の移動も楽です」

「ふむ」

 嵐や雨の心配がないだけましか。あとは闘ってみない事には判断がつかない部分が多すぎる。

「七日以内に出発する」

「え?」

 唐突な提案にティリスは思わずベリルを凝視した。

 確かに、モンスターを倒す目的で召喚されたけれど──知らない場所、知らない魔獣を相手に、どうすればいいのか解らない。

「環境には慣れてきた頃だろう。いつまでもここに長居してはいられない」

「それは、そうだけど」

 言葉が続かずティリスは目を伏せて黙り込む。

「悩むより楽しめだ」

 ティリスの肩を軽く叩きベリルは「用事がある」と、どこかに行ってしまった。

「悩むより、楽しむ」

 そうだ。知らない場所だもの、どれもみんな新鮮で新しい空気なんだ。見た事もないものが沢山、待ってる。