「お姉ちゃん遊んで!」

 コルコル族の子どもたちが威勢良くティリスに抱きついた。

「うん!」

 どうしようもない可愛さに、たったいま言い合っていた事もすっかり忘れ、目を輝かせて大きく頷いた。

 子どもたちの手をとって遊び始める様子を眺め、リュートは疲れたように深く息を吸い込んだ。

「喧嘩はよくないな」

 夕食の準備を済ませたベリルが手を拭いつつ背後から声をかけた。

「……誰のせいだと思っている」

「お前の言い方が下手なだけだ」

 平然と言い放たれてぐうの音も出ない。

「口べたか」

「あんたには関係ない」

「彼女は自分で思っているほど、体力がある訳ではないだろう」

「っ!」

「少なくとも、環境の変化への負担はお前よりも大きい」

 言い当てたベリルに感心すら覚える。

 いや、ティリスが少女だからと自然な流れでそう考えただけかもしれない。しかし、観察されているようで面白くない。

「それであんたは、その方法で環境に順応しようとしてるって訳か?」

「好きなだけだよ」

 リュートを牽制するように余裕の笑みを浮かべる。

「あんた……ジジ臭いな」

 反撃に出る。

「よく言われる」

 さらりと受け流された。




†††