クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

「やりました! やりましたよベリル様!」

「よくやった」

 褒められた嬉しさにラトナは照れているのか、耳をこれでもかと下げている。

 ティリスはそんなラトナがあまりにも可愛くて仕方がなかった。

「さあ、戻りましょう」

 レキナの合図で一同は帰り支度を始める。


 ──帰路の際

 ティリスはリュートの言葉に従って馬に乗り、手綱を引く彼を心配そうに見つめる。

「大丈夫……?」

「お前くらいの重さなら問題はないだろう。走る訳でもないしね」

 少女らしい優しさにベリルは笑みを見せて応えた。

 乗ってみて解ったが、この馬は小さいけれど力はある。しかし人間を乗せての旅は無理だろう。

「戻ったら、さっそく鞍を作ります」

「頼む」

 暗くなりかけた空を仰ぎ、ベリルたちは草原をあとにした。