クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

 
 ──食事を終えてベリルたちは再びカルクカンの捕獲に腰を上げる。

「お前が可能ならば楽ではあったのだがね」

 リュートを見やる。

 どんなに器用でも、馬があれでは不可能だ。

「まあ良い。彼らの今後のためにもなるだろう」

 普段から狩りをするというコルコル族の若者、ラトナにも輪投げを教えていたベリルは、見て大体は解っただろうと次は二頭同時の捕獲を試みた──

「わあああー!? すみません!」

「気にするな。少し休憩しよう」

 緊張でどうにも上手く連携が取れないようだ。輪はカルクカンの首から外れ、群れが散らばって逃げてしまった。

 これほど頻繁に休憩を挟むのは馬のためだ。ベリルを乗せた馬は、コルコル族を乗せているときよりも疲れやすい。

 小さい馬はさすがに扱いが難しくベリルも手を焼いていた。