レキナたちはカルクカンの群れを中心にして遠巻きにゆっくりと回り込み、一気に馬をベリルの方に走らせた。
[クワー!]
カルクカンは驚いて逃げようと体を反転させたが、そこにベリルが待ち構えていた。輪にしたロープを頭上で振り回し標的の首にそれを投げる。
輪はカルクカンの首にかかり、くいと引っ張ると輪が絞まって見事、捕獲に成功した。
「すごい!」
ティリスは駆け寄ってカルクカンを見上げた。
「まずは一頭」
興奮するカルクカンの首をさすり落ち着かせる。以前、カウボーイたちから教わった投げ輪がここで役に立つとは思わなかった。
派手に立ち回ったせいで他のカルクカンは逃げてしまったようだ。
「休憩といこう」
ベリルが言うと、様子を眺めていた一人の若者が持っていた大きなバスケットを持って駆けてきた。
敷物を広げて腰を落とし、中身を取り出していく。
「いつの間に?」
ティリスは、並べられた人数分のサンドウィッチに目を白黒させた。
「ベリル様が朝早く起きて作ってくださったんです」
レキナはにこにこと水筒からコップに飲み物を注ぐ。
「ベリルが!?」
「早くに目が覚めてね」
味見をしながらの作成で少々、時間はかかったが出来は良いと口に運ぶ。
「美味しい。作り方、教えてくれる?」
「戻ったら教えよう」
そのやり取りにリュートの顔が引きつった。



