クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

 
 ──そうしてコルコル族の若者たち数人とベリルの三人は、集落からしばらく歩いた所にある草原を訪れた。

「あれか?」

 リュートは遠方に動く影を見つける。

「そうです。あれです」

 レキナは答えて指差した。

 それは群れでいるらしく、数十頭ほどが固まってのんびりと草を()んでいる。

「トカゲ?」

 ティリスは目を凝らし、見えた姿に眉を寄せた。

「ふむ。全体的なイメージは恐竜のようだが、顔つきはウミガメに似ている」

 よく見えるなとベリルに顔を向けたリュートは眉間にしわを刻んだ。

「それはなんだ」

「双眼鏡」

「双眼鏡?」

「遠くを見るのに使う」

 しれっと答えるベリルに、そんなものがあるのかと驚き、他にはどんな物を持っているのかと気になった。