クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

 
 ──翌朝、目が覚めたティリスが広場に行くと、ベリルとレキナたちが集まって何か話し合っていた。

「どうしたの?」

「馬を捕まえる」

「馬?」

 聞き返したティリスにあごで示す。

「彼らの馬では無理がある」

 視線の先を見やると小型の馬、ポニーに似た動物が目に映った。

「例のモンスターは、東の洞窟に住み着いているらしい」

 魔術師(メイジ)たちの千里眼で見たところ、森の中にある洞窟にいるということだ。

「ここから十数日はかかります」

 レキナが地図を広げて続ける。

「ここが僕たちのいる大陸。コルレアス大陸です」

 言いながら左下の大陸を指差した。手書きの地図は長らく更新されていないのか、色あせて乱雑に記されたメモ書きは読み取りづらい。

 もっとも、かすれていないとしてもこの世界の文字など読めない。どことなくキリル文字に似ている。