彼女は決して、リュートに不審を抱いている訳ではなく。ただ、同じ立場である者同士の仲間意識と、僅かでも多くの安心感を得たいのだろう。
とはいえ、私も空気が読める方ではない。上手い言葉など、そう出てきはしない。
それでも考えあぐねた結果──
「とりあえずは眠る事だ」
明日のために体調を整えなければな。
「環境に慣れる事だけに集中すると良い」
「レキナの頼み。聞くんですか?」
「私はそのつもりだ」
どこにいようと要請があるならそれを受ける。
「幸い。私向きの内容のようだしね」
ベリルの笑みに同じく笑顔で返し、ふと目を伏せた。
「あなたって、リュートに似てる」
「ほう?」
「さっき、子どもたちに笑いかけたでしょ。それが似てたの」
優しいけど、寂しそうな瞳。強いけど、どこか儚げで……。
そうつぶやいたティリスの横顔を一瞥し、ベリルはこれからの事を思案して目を閉じた。