──視界が開けて、目の前には見慣れた森の姿が広がっていた。 「戻って、きた?」 「ああ。そのようだ」 二人は全身から感じる懐かしい空気に大きく息を吸い込む。ティリスは帰ってきた喜びと共に、レキナたちの顔を思い起こして少し寂しさを覚えた。 「夢なんかじゃ、ないよね」 こぼれた涙を拭い、胸元に光る青い石を見つけて召喚されてからの出来事が一気に脳裏に押し寄せる。 「リュート」 笑顔で見上げるティリスの肩をぽんと叩いた。 「今度ベリルが教えてくれた料理を作ってあげ──」 「絶対にやめろ」