リュートがその言葉を、どう受け止めるのかは解らない。けれどベリルは、護るべき者のための力であると認識した。 守れなかった多くの命はときに、ベリルを押しつぶそうとする。それでも、伸ばした手を掴むため力の限りを尽くす。 それはこれからも変わらない。 二度と会う事の無い友よ、お前の進む道が正しいかどうかは解らない。重なり合う事のない世界で、お前たちの道程(みちのり)に幸多からんことを祈っている。 「一度も名を呼ばれはしなかったがな」 二人の姿が消えた魔法円に、ぼそりとつぶやいた。