「ありがとう」
別れを惜しんで抱きしめる。
リュートをちらりと見れば、面白くない顔をしているものの別れのときくらいはと我慢しているようだ。
ただし、顔はこちらを向いてはいない(二度目)。
リュートは気配を感じて顔を向けると、ベリルが近づいてくるので思わず警戒する。
最後の最後まで何かされるんじゃないかと疑いを見せるリュートにベリルは呆れつつも、ちょいちょいと指を曲げて少ししゃがませた。
「──っ!」
囁きに目を丸くして魔法円の外に出るベリルを見つめる。
「なんて言われたの?」
「なんでもない」
そうしてメイジたちの詠唱が響き始め、地面に描かれた模様が輝きを放ち二人を風が取り巻いていく。
リュートは見送るベリルを見やり、ゆっくりと目を閉じた。
──その力は、お前の誇りだ──
呪いとする事は容易い。けれど、お前はそれを誇りに変えた。
別れを惜しんで抱きしめる。
リュートをちらりと見れば、面白くない顔をしているものの別れのときくらいはと我慢しているようだ。
ただし、顔はこちらを向いてはいない(二度目)。
リュートは気配を感じて顔を向けると、ベリルが近づいてくるので思わず警戒する。
最後の最後まで何かされるんじゃないかと疑いを見せるリュートにベリルは呆れつつも、ちょいちょいと指を曲げて少ししゃがませた。
「──っ!」
囁きに目を丸くして魔法円の外に出るベリルを見つめる。
「なんて言われたの?」
「なんでもない」
そうしてメイジたちの詠唱が響き始め、地面に描かれた模様が輝きを放ち二人を風が取り巻いていく。
リュートは見送るベリルを見やり、ゆっくりと目を閉じた。
──その力は、お前の誇りだ──
呪いとする事は容易い。けれど、お前はそれを誇りに変えた。



