──そうして夜も更け、宴もたけなわとなりセルナクスとマノサクスは酔っぱらった勢いでベリルの奪い合いを繰り広げる。
「ベリルは俺と飲むんだ!」
「オレと飲むの!」
「いい加減にせんか!」
折角の酒が不味くなる。
「ベリル~」
「待ってよ~」
食べ物の補充に遠ざかるベリルの背中に、二人は悲痛な面持ちで手を伸ばす。
「あはははははは」
それに笑いが止まらないティリスをリュートは緩やかな眼差しで見つめた。
「みんな笑顔になったね」
よかった。
「ああ」
「ちゃんと役目は果たせたかな」
別れが近づいていることを感じながら、ティリスは目の前の光景を記憶に焼き付けた。



