「ん。リュート?」

 目を覚ましたティリスが立ち上がるのを支えつつ、これまでを説明する。

「そうなんだ」

 油断したことをリュートに咎められるかと少し気を張ったティリスだが、彼は何も言わずに魔導師たちを見つめていた。

 ミレアはふさぎ込む仲間を見やり、ベリルの服に目を移す。

「──それは、血の跡ですか」

「ばくりとね」

 噛みつかれたことを手で示すと、ミレアは横たわっている獣を一瞥した。

「ごめんなさい」

 強く瞼を閉じて体を震わせる。

 頭から浴びたような血まみれの服に、仲間たちが作りだした獣の凶暴性は計り知れない。よくぞ倒してくれたと心から感謝したかった。

「どうしたい」

「えっ」

 突然、振られた魔導師たちは互いに見合い、小声で話し合うも答えを出せないようだ。

「お前たちはどうか」

「これからも仲良くしたい」

 言葉に詰まるセルナクスの後ろからマノサクスは率直に答えた。