「あなたは、勇者の一人ですね。彼らが何をしたか、教えてください」

「ミレア様。我々は何も悪いことはしていません」

「奴の言葉など聞く必要はありません」

「そうです。きっと嘘しか言いません」

「それを決めるのはわたしです」

 すげなくはねつけると魔導師たちは縮こまった。

 このミレアという少女は魔導師たちの(おさ)の娘で、魔力が強くウェサシスカにも呼ばれている優秀な魔導師だ。

 少女に見えるが実際は数百歳を越えている。それでも、彼らの中では若い部類に入る。

 ウェサシスカにいる魔導師は月に一度、移動魔法円(ポータル)を使って集落に戻ってくる。

 ミレアはここ最近、仲間たちの様子がおかしい事に気がついて注視していた。

 そんなおりに今日、集落に戻ってみると仲間の姿があまり見えず、きっと何かしでかしたのだと探していたところ、この状況に出くわした。

「一体、何に怒っているのです?」

「昇った者たちが酷い仕打ちを受けているのでしょう!?」

「それを聞いてから、我らはどうにかしないとと思い」

 しかし、どうにかしたくとも力では敵わない。魔法を操れると言っても体力もなく。ならばと、禁忌とされている術に手を出した。