「どうしてこんな事をしたんだ」

「黙れ」

「よくもぬけぬけと」

 フードから覗く紫の瞳から強い怒りが伝わってくる。二人には、その怒りの理由が未だに解らなかった。

「我々を奴隷のように扱っていたくせに」

「これ以上、こき使われるのはまっぴらだ」

 口々に吐き出される声に、セルナクスとマノサクスはまったく思い当たる節がない。

「こき使われるって……。何を言ってるんだ」

「そうだよ。ずっと仲良くしてきたじゃないか」

「仲良く。だと?」

 マノサクスの言葉が引鉄(ひきがね)となったのか、魔導師たちの雰囲気が一変した。

苦役(くえき)を課しておいて、よくもそんな事が言える」

「酷い奴らだ」

「我らはお前たちの奴隷じゃない」

 思ってもいなかった言葉なのか、マノサクスとセルナクスは何も言えずに立ち尽くしていた。