「魔導師たちだ。なんでこんな所に?」

 マノサクスは唐突に現れた魔導師たちに戸惑い、呆然とその光景を眺めていた。

「ほう? 彼らが魔導師か」

「うん。そうだよ」

 初めて目にする魔導師にベリルは興味深い視線を送る。この状況から考えるに、彼らはボナパスに関係していると見ていい。

「ティリス……」

 ベリルは力なくつぶやくリュートに少女を見やる。

「眠っているようだ」

 彼女ならすぐさま反撃していそうなものなのにと思えばなるほど、あれでは抵抗のしようがない。

 治療と戦闘に気を取られ、よもや第三の存在がいようとは考えもしなかっただろう。

 しかし、彼らの動きは手慣れたものではない。そして、彼女をぞんざいに扱ってもいない。傷つける事は避けたいようでもある。

「そこの勇者」

 一人の魔導師がベリルを示す。

「うん?」

 ベリルは私の事かと眉を寄せた。

「そうだ、お前だ。武器を全部捨ててこちらに来るんだ」

 その言葉に確信する。

「あれを造ったのはお前たちか」

 魔導師たちの動揺はフード越しでも見て取れた。

「どうして解った」

「むしろ、この状況で解らない者はいないと思うが」

 小柄な影たちの動揺は広がり、小声で話し合っている。

「えっそうなの?」

「お前な……」

 セルナクスは気付かなかったマノサクスに呆れて肩を落とし、気を取り直して魔導師たちに険しい顔を向けた。