「セルナ!?」

「──っ油断した」

 友の元に駆け寄ると片翼の羽毛は黒く焦げ、ただれた地肌が見えている。これでは飛べない。

「彼女の元へ」

 ベリルの指示にセルナクスの肩を支えてティリスを目指す。

「セルナクス!」

 ティリスは足早に二人と合流すると、痛々しい姿に渋い顔をしてすぐに治癒を開始した。淡い光が翼の傷を包み込む。

「どう?」

「範囲が大きいし傷も深いから、動けるようになるにはしばらく時間がかかるよ」

「セルナを頼んだ」

 一緒にいてやりたいけど、あいつを倒さないといけない。

「任せて」

 ティリスの強い声に笑みを見せ再び闘いの場に戻る。

「くそ──」

 親友を傷つけられ、ふつふつと怒りがこみ上がる。

 翼はリャシュカ族の命だ。ましてやセルナクスは近衛隊長だぞ。あいつが飛べなくなるなんて絶対にあっちゃいけない。

「ティリスの治癒を信用しろ」

「そう願いたいね」

 リュートに答えてボナパスを倒す思いを新たにした。