「さて。どうしたものか」

 全てにおいて強力になったボナパスに、どう対応すべきかベリルは迷っていた。

 動きが俊敏になってはいるものの小型化されたぶん、手榴弾の威力は増すだろう。体内まではさすがに強靱になっていない事を祈る。

 残る手榴弾は二つ、これをどうやって口の中に放り込むかだ。

「ベリル」

 声が聞こえやすいようにとベリルに近づいたセルナクスに、ボナパスは威嚇の唸り声を上げて炎を放つ。

 それにリュートは険しい表情を浮かべた。

 ──やはり、ボナパスの動きはベリルを他から遠ざけようとしている。以前のボナパスのような野放し状態とは違う。

「確証がある訳ではなかったが」

 獣の反応に、ベリルはこれまでの推測が間違いではなかったと断定した。目的が明確ならば、それなりの作戦が立てられる。

 少なくともリュートたちは奴の念頭にはなく私が狙われている事はある意味、幸運ともいえるだろう。

 奴の目の動きや動作から察するに、双方が思考している。であれば今回はどちらの頭から潰しても問題はない。