「作られたと言ったな」

「その可能性が高い」

 セルナクスの問いに抑揚なく返す。

 咥えて移動してくれたおかげでコルコル族たちが巻き込まれずに済んだことは幸いだ。拓けた場所のためマノサクスたちにも支障はない。

「前回、倒した姿とは随分と違っている」

 リュートがそれに付け加え、二人は複雑な顔をした。

「改良されてるって事か」

「前のやつも知らないのに、いきなりこいつ?」

 マノサクスは顔をしかめて右太ももに装着している矢筒に意識を向ける。

 念のために武器を持つようにとベリルに言われて弓と矢を用意してきたものの、こんな奴を相手にするなんて思いもしなかった。

 持ってきた矢は十本──いくら弓が得意でも、これで足りるかな。とにかく、獣の意識を散らさないと。

 苦々しく空に舞う友の姿を一瞥し、セルナクスは硬く翼を閉じた。

 有翼人である彼らは、誇りとしている翼がかなり目立つという事と、その弱点をよく知っている。

 マノサクスは元兵士であり幼き頃からの腐れ縁に、もはや二人の間には言葉の必要もなかった。