ティリスはリュートたちの様子を窺いながら、ボナパスの視界に入らないようにと常に一定の距離を保っていた。

 こんなとき、神官戦士としてどうすべきかはよく知っている。

 戦場で怯むことなく、戦いながらも神官としての力を遺憾なく発揮できる者こそが神官戦士たり得る──ティリスには、それが成せるほどの経験がある。

 敵と刃を向ける者が多くいるのなら、その人たちを支える者が必要だ。

「誰も、死なせない」

 ティリスは口の中でつぶやき、険しい表情をボナパスに向けた。

「えっ? あれ、モンスターじゃないの?」

 あれが獣? マノサクスはベリルの説明に目を丸くした。

「モンスターと獣のハイブリッドといったところだろう」

 さすがに敵対する人数が多いためか、警戒するボナパスを見つめながらベリルは答える。