クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

 
 要石の件がなかったら、こんな獣がいることを俺たちはまったく知ることがなかった。

 ウェサシスカ自体に危険が及ばない事柄には関心がないのであれば、それはもうウェサシスカの存在意義を無くしているも同然だ。

「本当、オレたちって情けないよな」

 それにマノサクスを見やる。

「無関係な人間を生け贄にしようとしたり。なんでもかんでも知らんぷりしたりさ」

 困ったような笑みにセルナクスは顔をしかめ、ボナパスに視線を戻した。

「ああ。そうだな」

 つぶやいて、自分たちの度量の狭さに奥歯を噛みしめた。

 悪いのは評議会だけじゃない。それに頼り切りだった俺たちにだって責任がある。レイノムス様に談判するのは、こいつを倒してからだ。

「私は人以外とあまり闘った事がない」

 ベリルは前置きし、決して視線を外さずボナパスとの距離を保ちつつ以前との違いを探る。