「ボナパスだ。コルコル族が名付けた」

「俺たちは、あいつを倒すために召喚された」

 それに、マノサクスとセルナクスはハッとする──コルコル族たちが勇者を召喚したとは聞いていても、その理由までは知らずにいた。

 魔導師たちはそこまで知っていたのだろうか。

 いや、そんな事よりも。評議会はどうして、勇者が呼び出された理由まで知ろうとしなかったんだ。

 いつもなら、すぐさま追求していた事柄ではなかったのか。

 知っていれば放置などせず、対処しなければならない案件だ。なのに、評議会は議題にあげることも、報告すらしなかった。

「──ウェサシスカの方針か」

 セルナクスは苦々しく舌打ちした。

 長らく続いた静観の姿勢が、ここにきて悪法となっている。今回の件に関してウェサシスカは怠慢、極まりないじゃないか。